やさしさSAYONARA

プロローグ

[輝]
うわー、すごいな。
公園中、桜だらけじゃないか
[輝]
これ、わざわざ準備したんだよなぁ・・・
町会長さんや町の人たちのバイタリティには
ビックリされっぱなしだ
[輝]
・・・・・・
[輝]
・・・ところで、なんで俺の休暇に
早瀬大尉までついてくるんです?
[未沙]
これも仕事の一環よ。
一条中尉、あなたは近頃、身勝手な行動が多すぎるんですもの
[未沙]
機能の戦闘だって
あなたが私の命令を無視して敵を深追いするから
フォッカー少佐や他の隊員にも迷惑を・・・
[輝]
はいはいわかってますって
このとおり、反省してます!
[未沙]
もう・・・
[ミンメイ]
あ、輝!それに未沙さんも!
[輝]
ミンメイ!
[未沙]
ミンメイさん・・・こんにちは
[未沙]
・・・一条少尉。まさかあなた
今日はミンメイさんと待ち合わせだったの?
[輝]
ええっと・・・それは、その
[ミンメイ]
ふふっ、違いますよ!
[ミンメイ]
輝には『新曲の映像撮影をするから
ヒマがあったら見に来てね』って言ってあったんです
[未沙]
そういうことだったのね
[ミンメイ]
そうだ、未沙さんも良かったら撮影を
見ていってください
[ミンメイ]
今日、撮影をする曲・・・わたし、すごく好きなんです
[ミンメイ]
ちょっと悲しい曲なんですけど・・・
桜の花が散る中で映像を撮ったら
とってもきれいな仕上がりになると思います
[未沙]
そうなの?
それじゃあ、せっかくだし見学させてもらおうかしら
[未沙]
このところ敵の襲撃が続いて
ブリッジに出ずっぱりだったの
[未沙]
クローディアにも
『町に出てお花見でもしてきたら?』
って言われたところで・・・
[ミンメイ]
・・・!お花見、いいわね!
[輝]
えっ?
[ミンメイ]
輝、未沙さん。
撮影が終わったら一緒にお花見をしましょう!
[ミンメイ]
いつも頑張ってくれてる2人もために、
わたし、1曲歌うわ
[ミンメイ]
ずっとお礼がしたいと思っていたの。
わたしが思いっきり歌を歌えるのは、
輝たちが頑張ってくれているおかげだから
[未沙]
ミンメイさん・・・
[輝]
ありがとう、ミンメイ。
ミンメイの歌、楽しみにしてるよ
[ミンメイ]
ええ。期待しててね!未沙さんも!
[未沙]
・・・なんだか、突然押しかけてしまったのに
申し訳ないわ
[未沙]
でも・・・そうね。
たまにはこういうのも悪くないかも
[未沙]
ありがとう、ミンメイさん

歌に込められた想い

[未沙]
ミンメイさん、
今日は本当にありがとう
[未沙]
桜もきれいだったし
新曲もとっても素敵で・・・
[未沙]
時間を忘れて
思わず聞き入ってしまったわ
[輝]
うーん。
でも俺、やっぱりミンメイの
他の曲も聴きたかったなぁ・・・
[輝]
確かに今日の曲も良かったけど
なんか悲しい歌だったし
[未沙]
あら。一条中尉には
あれがただの悲しい歌に聴こえたの?
[未沙]
まだまだお子様ね
[輝]
どれなら、大人の大尉には
違う風邪に聴こえたっていうんですか?
[未沙]
確かにあれは
悲しい別れを思わせる歌だったけど・・・
[未沙]
それまでの自分を捨てて
生まれ変わって歩き出そうとしている
[未沙]
そんな、女の子の前向きで
すっきりとした気持ちも感じられたわ
[輝]
女の子の気持ちは難しいなぁ・・・
[輝]
歌い手のミンメイは
どんな気持ちで
この歌を歌ってるんだい?
[輝]
ミンメイ?
[ミンメイ]
・・・!
[ミンメイ]
ごめんなさい!
ちょっとボーッとしちゃってたわ・・・
[ミンメイ]
2人の前であの歌を歌ったときから
変な記憶が頭をよぎって・・・
[輝]
変な記憶・・・?

悲しい記憶

[ミンメイ]
2人の前であの歌を歌ったときから
見に覚えのない記憶が頭をよぎるの
[未沙]
見に覚えのない記憶って・・・
[未沙]
確か、前にシェリルさんたちが
同じようなことを言っていたわね
[未沙]
歌っている最中に
見に覚えのない記憶を
垣間見るときがあるって
[ミンメイ]
はい、平行世界の記憶だって
言ってましたよね
[ミンメイ]
わたしも、あの歌を歌っていたら
公園に散る桜の花びらが突然
降りしきる雪に見えてきて・・・
[ミンメイ]
その雪の景色で、
わたし、輝と未沙さんに会っていたんです
[輝]
俺と早瀬大尉に・・・?
それで?
[ミンメイ]
わたし、輝に大切なことを伝えて・・・
[ミンメイ]
やっぱり何でもない!
はっきりとは思い出せないの
[ミンメイ]
・・・だけど、何故か
とても悲しい気持ちだけは
伝わってきて・・・
[ミンメイ]
不思議よね。
わたしの記憶じゃないはずなのに
[輝]
ミンメイ・・・
[未沙]
・・・その現象も、記憶の時空の歪みが
引き起こすものみたいだし、
ミンメイさん、あまり気を落とさないで
[ミンメイ]
・・・はい
[ミンメイ]
でも・・・あの、未沙さん!
[未沙]
何かしら?

桜のように

[ミンメイ]
さっき未沙さんが言っていた言葉で
思い出したんです
[ミンメイ]
わたしが見た記憶も、ただ悲しいだけじゃ
なかったような気がするって
[未沙]
そうなの?
[ミンメイ]
はい!もし、大事な人と
さよならすることになったとしても、
それがひとつの区切りにもなるというか・・・
[ミンメイ]
そう思ったら
少し元気が出てきました
[ミンメイ]
ありがとうございます
未沙さん!
[未沙]
そんな・・・でも、少しでも
元気になれたなら良かったわ
[未沙]
せっかくのお花見だったのに
悲しい気持ちで終わってしまったら
勿体ないものね
[フォッカー]
そうだぜ、ミンメイちゃん。
美しい桜に沈んだ顔は
似合わねぇってな
[ミンメイ]
フォッカー少佐!
[輝]
先輩!
[フォッカー]
さっきからずっと入るタイミングを
うかがってたんだ
[フォッカー]
ミンメイちゃん!
今度の日曜日、
軍でも花見の予定があるんだが・・・
[フォッカー]
そのとき、うちの連中に
聴かせてやってくれないか?
春にぴったりなラブソングをよ
[ミンメイ]
はい、喜んで!
[輝]
軍の花見?
先輩!俺、聞いていないですよ!
[フォッカー]
そうだったか?
まぁ、細かいことは気にするな
[未沙]
・・・今度のお花見は
今日より騒がしくなりそうね
[ミンメイ]
はい!楽しみです!

エピローグ

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Last-modified: 2020-11-13 (金) 01:14:35